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  • 2024.3.29
  • スポット銭湯&スパ

人生初の黒湯体験! 疲れた心も癒す、大田区の「黒湯がある銭湯」巡り

コロナ禍を機にリモートワークを始めてから、はや4年。通勤時間がなくなったのは楽だけど、家で仕事をしていると、気持ちのオンオフの切り替えが難しくて、リラックスできる時間が減ってしまったことに気がつきました。

「こんな自分を癒やしてくれる場所はないものかな〜」と探していたら、実は大田区は「都内で最も銭湯が多い地域」だという情報が……! しかも、「黒湯」という温泉が楽しめる銭湯がたくさんあるのだとか。

長らく銭湯に行っていなかったので、ちょっと緊張しながらも、この機会に人生初となる黒湯も体験できる銭湯を巡ってみることにしました!

昭和12年創業! 遠方からもファンが訪れる「蒲田温泉」へ

まず向かったのは、JR京浜東北線、東急池上線・多摩川線「蒲田」駅や京急線「京急蒲田」駅から徒歩10分ちょっとの場所にある「蒲田温泉」。のどかな商店街を歩いていくと、赤い看板が見えてきました!

蒲田温泉の創業は、なんと昭和12年。今年で87周年を迎えると知って、びっくり!

古き良き時代を感じさせるレトロ感たっぷりの外観に、心躍ります。さっそく入っていくと、入浴料を支払う券売機を入口で発見。

「そういえば、幼い頃よく親と一緒に近所の銭湯に行ったな〜」なんて、昔を懐かしみながら、入浴チケットを購入しました。

館内に入ると、ロビーには蒲田温泉のオリジナルグッズがズラリと並んでいました。サウナブームの影響もあり、一部のファンの間で銭湯グッズが流行っているのだそうです。オリジナルTシャツを着て蒲田温泉に訪れるのも、「通」な感じがあっていいかも!

脱衣所に入りました。見てください、この清潔感のある広々とした空間! これなら安心して入浴の準備ができます。

人生初の「黒湯」を体験! 想像以上の黒さにびっくり

浴室は縦に長い構造。シャワーを浴びる場所を抜けて、一番奥に湯船があります。よく見ると、あれはもしかして……。

「黒湯だ〜〜〜!!」人生初の黒湯が嬉しくて、思わず大きな声が出そうでした。危ない危ない。

それにしても、湯船を覗くと鏡のように顔が映るほど、真っ黒なお湯の様子に驚きました。この黒色は、古代の植物が微生物によって分解され、地中深くで腐食し蓄積されてできているのだとか。ぬめりのある成分は、パック効果や保湿効果があるといわれています。

そして蒲田温泉の特徴は、都内でも随一の高温(45℃程度だとか)の黒湯があることなのだそうです。さすがに最初に高温に入るのは怖いので、まずは低温の黒湯から入ってみることに。

たった5cmほど浸かっただけで、黒いお湯で身体が見えなくなるくらいの黒さ。お湯は少しぬめりがあって、ずっと浸かっているとお肌がすべすべになる感じがします。

身体が芯まで温まったら、高温の黒湯にチャレンジ! 恐る恐る足を入れてみると、思ったよりもいけそうかも……?

油断して、全身浸かってみると、やっぱり熱い! 1分くらいで耐えられなくなって、湯船から上がりました。気持ちいいけど、無理は禁物です。

別のお客さんが高温の黒湯に入っていくのを見かけましたが、みなさん余裕の表情。まだまだ私には修行が足りないのかもしれません。

黒湯の他にも、超音波&遠赤外線の湯船や、電気風呂付きのガリウム石温浴泉の湯船、サウナなど、身体の疲れを癒やしてくれる工夫がたくさんありました。それぞれの湯船を楽しんで、サウナで整い、大満足です!

ロビーでくつろいだ後は、名物「温泉釜飯」を堪能

お風呂から上がったあと、広々としたロビーでゆっくりくつろげるのが、蒲田温泉の嬉しいポイント。

店主の方に「普段はどんなお客さんが来るのか」と伺ってみると、意外にも遠くから来る20代のお客さんが多く、中には海外から訪れる方も少なくないのだとか。

この日も開店してすぐに若いお客さんがたくさん来ていました。私も蒲田温泉に通って、もっとこの場所の魅力を探りたくなってしまいます……!

ちなみに、お風呂で温まった身体に染みる蒲田温泉名物「温泉釜飯」も食べられます。店主さんこだわりの具材がたっぷり入った釜飯は、ダシの効いた優しい味で、どこか懐かしい気持ちになりました。

蒲田温泉

所在地:東京都大田区蒲田本町2-23-2
アクセス:JR京浜東北線、東急池上線・多摩川線「蒲田」駅から徒歩13分。京急線「京急蒲田」駅から徒歩12分
TEL:03-3732-1126
http://kamataonsen.on.coocan.jp/

アットホームな雰囲気に癒される「久が原湯」へ

続いて向かったのは、都営浅草線「西馬込」駅から徒歩14分のところにある「久が原湯(くがはらゆ)」です。

高濃度人工炭酸泉を使用したことで、大田区初の「健康増進型銭湯」として指定されている久が原湯は、大田区の銭湯好きの間でも人気のある場所なのだそう。


「久が原湯」と大きく書かれたレトロなのれんが目印。早速入っていきましょう!券売機で、タオルやシャンプーセットがついた「全部セット」券を買って……。

受付で券を渡すと、スタッフさんがセットを渡してくれました。思い立ったときに手ぶらで行けるのも、銭湯のいいところ。

脱衣所で準備をして、浴室に入ると驚きの光景が……!

これぞ、銭湯! 壮観な「富士山」がお出迎え

目に飛び込んできたのは、「これぞ、銭湯!」と言いたくなるような、立派な富士山のタイル画。

どこからでも富士山が眺められるよう、男湯から女湯まで、壁いっぱいに描かれています。これまで何度か銭湯に訪れたことはありますが、こんなに立派な富士山は初めてかもしれない!

広々とした湯船でくつろぎながら美しい富士山を眺めていると、日常の疲れや嫌なことも全部吹っ飛んでしまいそうです。

店主の優しさがこもった、「ぬるめのお湯」に心も身体もあたたまる

ここでも発見しました、黒湯!「美人の湯」とうたわれるほど、美容効果が高いといわれており、黒湯目当てに久が原湯に訪れるお客さんも少なくないのだとか。

ぬるく優しい温度(40℃いくかいかないかくらい)に設定されているおかげで、ゆっくり浸かっていられたので、これで私も美肌をゲットできちゃうかもしれません……!

高濃度人工炭酸泉をはじめとして、ジェットエステやスイッチ式のボディジェットなど湯船の種類も豊富。「次はどの湯船に浸かろうかな〜」なんて迷うのも楽しい時間でした。

湯船に浸かっていたら、他のお客さんが話しかけてくれたので、世間話に花を咲かせていると、「ここの銭湯が一番好きで、毎日通ってるの」と教えてもらいました。お客さん同士の会話も自然に生まれるアットホームな雰囲気に癒やされます。

湯船の隣には足湯スペースもあり、腰掛けることもできるみたい。誰でも思い思いに銭湯を楽しめる設計に感動しました。

美容にこだわりのある女性のお客さんにも銭湯を楽しんでもらいたいという気持ちから、一部のシャワーには高級ブランドのシャワーヘッドが使用されています。こういった小さな心遣いから、久が原湯のファンが多い理由が伝わってきました。

岩塩を使った「ドライサウナ」で、整いタイム

久が原湯の締めは、ドライサウナへ! 広々としたサウナルームには、よく見ると岩塩が積まれています。

店主さんによると、こうして岩塩を熱することで遠赤外線エネルギーが放出され、短時間で体温が上がるため、良質な汗をかくことができるのだとか。

疲労回復や新陳代謝アップの効果も期待できると聞いて、いつもより長めに温まってみました。

久が原湯

所在地:東京都大田区久が原2-14-15
アクセス:都営浅草線「西馬込」駅から徒歩14分
TEL:03-3754-4452
https://twitter.com/kugaharayu1010

銭湯めぐりのクライマックスは、黒湯の露天風呂が人気の「桜館」

最後に訪れたのは、黒湯の露天風呂が楽しめると噂の「桜館」。

東急池上線「池上」駅から7分ほど歩いたところに、立派な桜の木が見えてきました。

風に揺れる桜の花がきれいで、銭湯に入るまえに立ち止まって、うっとりと眺めてしまいました。

中に入ってみると、ロビーは古きよき雰囲気が漂っている空間で、設置されている冷蔵庫には瓶コーラやコーヒー牛乳が並んでいます。

脱衣所も、レトロな雰囲気。広々としているので、お風呂を上がったあともゆったり休憩できそうです。

かつて桜を眺められた黒湯の内風呂や露天風呂に感動

広い窓に囲まれた浴室には太陽の光がたっぷり入ってきて、いるだけで心が晴れやかになる空間! 「ここで朝湯ができたら、きっと爽快だろうな〜」なんて思いながら、身体を洗いました。

浴室は「壱の湯」と「弐の湯」に分かれていて、半月ごとに男湯、女湯を入れ替えるため、来るタイミングによって違った浴室を楽しめるのだそう。

カラン(蛇口)の数が全部で35個とたくさんあるので、混み合うことなくスムーズに身体を流せるのもポイントです。

白湯は41℃前後とぬるめの設定。ジェットバスやバイブラがついた広々とした湯船で、身体を温めたら、次は噂の黒湯へ!

通常の湯船とは区切られた空間にある黒湯は、光が差し込んで、なんだか幻想的な光景……!

この日入った黒湯の中でも湯船が一番広く、伸び伸びと浸かれました。

よく見ると湯面に泡が浮いているように見えますが、これは黒湯の成分によるものなので、安心して入って大丈夫なのだそう。


(※画像:「桜館」様ご提供)

実はこちらの黒湯、かつては写真のように、開け放たれた窓から桜を眺めながら入ることができたのだそう。

現在は木の老朽化によって、惜しまれながらも伐採されてしまったそうですが、また新たに桜の木が植えられたため、3〜4年後にはまた窓から桜が眺められるようになるのだといいます。

黒湯に白い桜の花びらが浮いた様子はきっと幻想的だったはず。いつか桜館で、また美しい桜を眺めたいものです。

桜館の黒湯は内風呂だけでは終わりません。屋上に登っていくと、露天風呂が見えてきました!

外の風を浴びながら黒湯に入れるなんて、とてつもなくぜいたくな体験です。黒湯に浸かりながら、目をつぶってゆっくり深呼吸。

ゆっくり浸かっていたら、ちょっと熱くなってきたので、ベンチに座って外気浴を楽しみました。もう、毎週末訪れたいくらい、心地よい時間でした。

桜館のこだわりが詰まった「フィンランド式サウナ」

桜館に訪れたからには絶対入りたいのが、ストーブで温める「フィンランド式サウナ」。ドライサウナ(上の写真)は室内が暗めで、温度は90〜95℃くらい。湿度が高めに設定されているため、しっかり汗をかけるのが特徴です。

また、ドライサウナの他に、こだわりのスチームサウナも楽しめます。スチームサウナは50℃前後と低めの温度に設定されているため、高温のサウナが苦手な方でも大丈夫。たっぷりのスチームを浴びて、汗をかいたおかげで、最高の爽快感がありました!

縦長の水風呂は、RPGに出てくるダンジョンのような雰囲気があって、理由もなく奥に進みたくなります(笑)。

冷却装置によって夏でもキンキンに冷やされているため、しっかり熱を冷ますことができるのも、桜館のこだわりです。

2階には、休憩スペースや昔なつかしいゲーム機がズラリ

2階には、お風呂を上がったあとに、飲食やゲーム、読書ができる休憩スペースがあります。お風呂上がりのかき氷が子どもたちに人気らしく、一年を通して楽しまれているのだとか。

昔はここで地域の方を集めて、書道教室を開いていたこともあるくらい、地元に愛されてきた桜館。

「せっかく広いスペースがあるから、みなさんに楽しんでもらいたい」と語る店主さんの言葉に、胸が熱くなりました。

休憩スペースの奥には、昔懐かしいゲーム機がズラリと並んでいました! お子さん向けかと思いきや、一緒に訪れた親御さんのほうが白熱することもあるのだとか。

普段はあまり目にしないゲーム機の数々に、思わずテンションが上がってしまいました!

桜館

所在地:東京都大田区池上6−35-5
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩6分
TEL:03-3754-2637
https://sakurakan.info/
※2階飲食スペースおよびゲームコーナー:土日祝日のみ営業 12:00~21:00

久しぶりに訪れた銭湯は、幼い頃に訪れた記憶とはまた違った楽しみ方を見つけられて、銭湯の魅力を改めて知る1日になりました。

何よりも印象に残っているのは、やっぱり「黒湯」! 普段は忙しくて、なかなか温泉旅行に行く機会はありませんが、こうして近所の銭湯で温泉を楽しめるというのは、嬉しい発見でした!

湯船に浸かってあたたまる気持ち良さはもちろんのこと、他のお客さんと世間話に花を咲かせる時間もまた嬉しいものです。

これを機に、これからもたくさん銭湯を訪れてみたいと思います! みなさんもぜひ、大田区の黒湯を堪能してみてください。

ちなみに、大田観光協会では、大田区の黒湯を再現した「黒湯入浴剤」を販売しています(税込200円)。家庭の浴槽で気軽に黒湯気分を味わえると(浴槽や風呂釜を痛めるイオウは入っていません)、根強い人気があるそうです。
ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか?

【問合せ・販売先】

(一社)大田観光協会

所在地:東京都大田区南蒲田1-20-2 大田区産業プラザ2階
アクセス:京浜急行線「京急蒲田」駅から徒歩3分
TEL:03-3734-0202
https://www.o-2.jp/

大田区観光情報センター

所在地:東京都大田区蒲田4-50-11 ウイングキッチン京急蒲田 中2階
アクセス:京浜急行線「京急蒲田」駅から徒歩0分
TEL:03-6424-7288
https://tokyoactivity.com/ja/

本記事のライター:目次ほたる

プロフィール:
海外旅行も未経験な旅初心者。取材をきっかけに旅の魅力を知り、まずは国内旅行を楽しむために、身近な地域から行ったことのない都道府県まで、魅力的なスポットをリサーチ中。

着物や茶道をはじめとした日本文化が大好きで、歴史を感じる町並みを訪れるのが趣味。そのため、休日はカメラを持って古き良き街を散策したり、美術館や博物館を巡っている。

現在は、都内でフリーランスライターをやっており、取材記事やインタビュー記事を中心に執筆。大田区の好きな駅は、東急池上線の池上駅。

監修:松本里美/三好順