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  • 2023.6.30
  • グルメスポット

洗足池をぐるっとお散歩! 気ままなソロ活やってみた

仕事が忙しく、プライベートもイベントを詰め込み過ぎ、そんな慌ただしい毎日が続くと、ふと一人だけでゆっくり過ごしたいと思ってしまうもの。そんなときには、大田区にある洗足池(せんぞくいけ)に行ってみましょう!

洗足池の名前こそ聞いたことはあるけれど、実はまだ行ったことがなかった私。しかし今回初めて洗足池をぐるっと回るお散歩に行ってみて、とてもリフレッシュすることができました。これはソロ活にぴったりな場所だ!と確信するまでに至ったのです。

それでは、洗足池とは一体どんなところなのでしょう。気ままなソロ活の模様をお伝えします。

洗足池のソロ活スタート!洗足池ボートハウスの屋上展望台から洗足池を一望

洗足池一周のスタート地点となるのは、洗足池ボートハウスです。東急池上線「洗足池」駅の改札を出て目の前の横断歩道を渡るとすぐの場所にあり、初めてでも迷わずたどり着けました。
施設奥に進むと、そこには大きな池が! 全貌を把握するべく、螺旋階段を上って屋上展望台に向かいました。

階段を上り切ると現れたのは、洗足池ボートハウスの屋上展望台スペース。眼下に広がる洗足池は想像以上の大きさでびっくり! 少し階段を上っただけで、これほどまでに景色が変わることが信じられないほどです。この日のソロ活への期待感が高まります。

駅近であることを忘れるような豊かな自然が広がり、ときおり道路を走る車の音が聞こえてきて、まさに「都会のオアシスとはこういう感じか!」という感想を抱きました。

まずは屋上展望台からの景色を写真に収めて、洗足池一周の旅に出発です!

映画の撮影で使われていたスワンボートが!

池の上にズラリと並んでいるのは、そうスワンボート! 洗足池のスワンボートは、ロケ地としてこれまでに映画やドラマで何回も登場しているとか。

一人でボートに乗るのはためらわれても、スワンボートのある風景自体が貴重ですし、人気の映画や好きな俳優さんの聖地巡礼に訪れるのもよさそう。

「洗足池らしさ」あふれる池月橋(いけづきばし)で写真撮影

洗足池沿いの遊歩道を時計回りに進んでいくと、橋が見えてきました。池月橋です。

6月下旬の蒸し暑い時期に訪れたこともあり、池月橋と公園のみどりを少し離れたところから見ると、清涼感があって心が癒されました。

橋の上は雨の日にはとくに滑りやすくなるので、底がしっかりした靴を履いて出かけることをおすすめします。

屋上展望台からの景色に続いて、これは実に映える撮影スポットです。池月橋を写真に納めたら、SNSへ投稿してみるのもいいですね!

勝海舟記念館に立ち寄ってみよう

洗足池といえば、勝海舟ゆかりの地。洗足池の東側には、大田区立勝海舟記念館が。国登録有形文化財であるネオゴシックな旧清明文庫を活用した建築を前にすると、浪漫あふれる時代にタイムスリップしたような感覚になります。

海軍の育成に尽力した勝海舟。スクリュー式蒸気軍艦「咸臨丸(かんりんまる)」で渡米したときの苦労を写真と映像で語るシアター「時の部屋」では、あまりの臨場感に時間を忘れて見入ってしまいます。また、海舟の人生哲学が詰まった名言の数々を映像と音声で表現した展示「海舟ブレイン」には、現代を生きる私の心にもジーンと響くものがありました。

展示室の中心には、海舟に関する年表があり、坂本龍馬との出会いや、西郷隆盛との会談を経て江戸城を明け渡すことになる「江戸無血開城」などが紹介されています。

緩やかに順路があるだけで、展示室内を比較的自由に行き来できるため、ソロ活で訪れてマイペースに学びの時間を堪能できる記念館です。また、海舟の功績と大田区との接点にフォーカスした展示は、教科書に出てこない内容も多く登場するため、歴史が好きな、いわゆる“歴女”にはたまらないでしょう。

2階に続く階段は、レトロ感たっぷり。階段をゆっくり上ったり、床のタイルをじっくり眺めたりして、ちょっとしたタイムスリップ感を一人で楽しんでみました。

1階入り口横にあるミュージアムショップで、オリジナルグッズをお土産に買うことをお忘れなく。

人気は、江戸無血開城にちなんだネーミングがキャッチーな「無血絆創膏」だそうです。お土産にすれば、贈った相手にクスッと笑ってもらえそう!

海舟と大田区にまつわるマニアックなものから、映像で伝わる歴史や建築美など誰もが興味を持てるものまで、ひとりで訪れても幅広い情報に触れられて、学びを持ち帰ることができる場所だと感じました。

大田区立勝海舟記念館

所在地:東京都大田区南千束2-3-1
アクセス:東急池上線「洗足池」駅から徒歩6分
TEL:03-6425-7608
https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/hakubutsukan/katsu_kinenkan/index.html

勝海舟記念館からすぐ! 大田区立洗足池図書館

すっかりインテリジェンスな気分になった私は、勝海舟記念館から徒歩3分の大田区立洗足池図書館にも立ち寄ってみました。

大田区立洗足池図書館には、勝海舟コーナーが設置され、関連作品を閲覧できます。勝海舟記念館を訪れてさらに興味が湧いた人は、ここで知的好奇心を満たしてみてはいかがでしょうか。

勝海舟記念館から洗足池図書館までの道では、椿や梅など華やかな絵柄があしらわれた勝海舟記念館オリジナルタイルも発見!

大田区立洗足池図書館

所在地:大田区南千束2-2-10
アクセス:東急池上線「洗足池」駅から徒歩3分
TEL:03-3726-0401
https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/toshokan/senzokuike.html

「洗足池」の名前の由来が判明? 御松庵妙福寺

洗足池公園一周の途中に、御松庵妙福寺(ごしょうあんみょうふくじ)があります。御松庵妙福寺の敷地内に植えられている松は、江戸時代に活躍した浮世絵師 初代歌川広重の『名所江戸百景』に登場する「千束の池袈裟懸松」、江戸近郊の地誌である『江戸名所図会』に登場する「千束池袈裟掛松」をイメージさせることから、袈裟掛(けさがけ)の松と呼ばれています。

ここで「千束」という言葉が出てきて「あれ?」となりました。調べてみると、洗足池はかつて「千束郷(せんぞくごう)の大池」と呼ばれていたそう。ところが、日蓮が療養のため常陸国(現在の茨城県)に向かう途中で立ち寄った際、池畔で手足を洗ったという伝承から、いつしか「洗足」という表記が使われるようになっていったそうです。まさか本当に足を洗っていたとは……、言葉そのままの背景があったのですね。

このような歴史的背景を知ると、洗足池公園が過去と未来とを行き来できるような場所に思えてきます。

洗足池商店街で見つけた!「cafe634」でカフェランチ

そろそろお腹が空いてきたところで、一旦洗足池から離れてランチのお店を探してみることに。洗足池駅の南側にある洗足池商店街を歩いてみます。

そこで見つけたのが、「cafe634(カフェ ムサシ)」です。

元々は10年にわたって東銀座のオフィス街で営業を続けていたというオーナーの児玉さん。しかし「人が住む場所でやってみたい」と心境の変化があったことから、次の場所として洗足池を選んだそうです。
『街のコーヒー屋で、食堂で、おやつ屋でありたい』とする、cafe634。「お客様自身のお好きな解釈で使ってほしい」ともお話してくれました。実際、コーヒーをイートインしてから焼き菓子をテイクアウトしたり、予約した週替わりのお弁当を引き取りに来たり、ランチを食べに来たりと訪れる人それぞれが異なる目的を持って、店先の白い暖簾を潜る姿が印象的です。

人の流れや商店街のざわめきを感じつつ、店内に入るとほっと心が落ち着くような絶妙なバランス感覚のカフェ。これなら一人でもゆっくり過ごせそうです。

ランチタイムということで、日替わりメニューが人気の「本日のプレート(ドリンク付き)」(1470円)をいただきました。
千葉の農家さんと直接契約をしているため、cafe634には毎日多種多様で新鮮なお野菜が少量ずつ届きます。少量ずつとしているのは、その時々の旬のものをベストな状態で美味しく食べてもらいたいとの思いがあるからだそうです。

そのため、本日のプレートは数量限定。こだわりのランチを求めて、開店前からお店に列を作るお客様もいるほどです。

この日のメインは、若鶏の唐揚げ ネギソースと枝豆とジャガイモのコロッケ 塩麹添え。副菜3種と付け合わせのサラダ、黒米ご飯がセットになっています。

若鶏の唐揚げのほんのりピリ辛なソースや、コロッケに乗った塩麹など、一般的な味付けとは少し異なるアレンジが楽しいメニューに興味をそそられます。

cafe634のメニューは、児玉さんとスタッフとの話し合いと、お客様からのお声を取り込んで決まるそうです。今年の夏、初めて販売をスタートさせたというのが「プリンアラモード」(650円)。
色とりどりのフルーツがあしらわれ、ふんわりした生クリームが乗ったプリンは、つい写真に収めたくなるかわいさ。トレンドのかためプリンかと思いきや、モソモソとツルツルのちょうど間くらいの食感で、このボリュームでもするりと完食してしまう食べやすさと美味しさでした。

同じ建物の2階で自家焙煎したコーヒー豆を使用し、「山」「空」といった、児玉さんがアウトドアシーンで出会った景色をイメージしたネーミングのブレンドコーヒーもいただきました。

空ブレンド(550円)は、飲み疲れしない爽やかさが魅力。どのスイーツや食事と合わせても邪魔をせず、毎日飲んでも飽きがこないブレンドだと感じました。

cafe634

所在地:東京都大田区上池台2-31-11
アクセス:東急池上線「洗足池」駅から徒歩およそ2分
TEL:03-3727-6368
https://www.instagram.com/cafe_634/

15時のおやつは「ダブルトール南千束」の焼き菓子! 洗足池公園休憩所でのんびり

洗足池周辺散策の疲れを癒すためのおやつを求めて歩いていると、気になるお店を見つけました。
洗足池ボートハウスから5分ほど歩いた場所にある、焼き菓子の直売所「ダブルトール南千束(みなみせんぞく)」です。お店に近づくにつれて、優しく甘い香りが漂ってきたため、ここがお菓子屋さんだとすぐにわかりました。

ダブルトール南千束は、もとはレストランやデパートに入っている店舗に卸すための焼き菓子のみを製造・販売していました。そんな中コロナ禍に突入し、おうち時間が増えた地域の人々にも美味しいお菓子を食べてもらいたいとの思いから、テイクアウト専門店として一般の人たちにも焼き菓子を販売することになったそうです。

店頭には、成形が美しくフレーバー豊かなシフォンケーキやカヌレが所狭しと並んでいました。
お店を切り盛りするのは、店主の尾形さんと、その娘さんです。基本的にはお取引先に卸すために作ったレシピのお菓子を、この直売所でも販売しています。

その中でも、カヌレは娘さんのアイデアから生まれたメニューです。カヌレを作ると決まってから、尾形さんは都内およそ20店舗ほどのカヌレを食べ歩いたそう。3ヶ月間にわたって試作を重ねました。シンプルでお酒がしっかりと効いた「焦がしバターのカヌレ」「紅茶のカヌレ」(各200円)などの自信作が出来上がったそうです。

焼き菓子の卸しのお仕事をされる前は、レストランでお仕事をされていた尾形さん。その頃に培ったサービス精神は今も健在で、お客様に喜んでもらいたい気持ちから、メニューのバリエーションがどんどん増えていっています。

春夏シーズンには、「マンゴーレモンジュース「ベリークリームソーダ」「コーヒーフロート」(各350円)など冷たいドリンクを種類豊富に用意。秋冬シーズンには、温かいドリンクにメニューが切り替わります。

店頭に並ぶ焼き菓子は、日替わりでフレーバーが変化します。この日の魅力的なラインナップの中から、今回は「サマーオレンジのシフォンケーキ」(300円)「塩キャラメルチョコケーキ」(200円)をチョイスしました!

洗足池公園一周の中間地点である洗足池公園休憩所に向かい、いただきました。
初めはコンクリートの地面と生い茂った植物、蒸し暑い気温などでタフに感じられた洗足池公園周辺の遊歩道も、慣れてくるとここを歩くことが心地よく感じられます。犬を散歩させた人、学校帰りの小学生など、時間帯によってさまざまな人々が日常的に利用しているのだという新しい発見もありました。

サマーオレンジのシフォンケーキは、ふわっふわでボリューム満点なのに、口の中の水分を奪わない絶妙なしっとり感もあります。オレンジの苦味を絶妙に感じられる、大人も驚く本格的なスイーツでした。

塩キャラメルチョコケーキは、オリジナルキャラメルのこんがりとした風味と、隠し味として側面に使用した岩塩のあまじょっぱさが、疲れた身体に染み渡ります。

どの焼き菓子もはっきりとした個性を放っているため、今回は選ばなかった種類がますます気になってきます。また訪れたとき、この日とは異なるフレーバーの焼き菓子に出会えると思うと、それも楽しみです。

洗足池公園周辺の散策を、これほどまでに自由気ままに楽しめるのはソロ活ならでは。好きなときに、好きな食べ物やドリンクを買って食べる時間は、旅の醍醐味といえます。

ダブルトール南千束

所在地:東京都大田区南千束1-18-5
アクセス:東急池上線「洗足」駅から徒歩およそ5分
TEL:03-3728-5508
https://www.instagram.com/double__tall/

ソロ活で馬池洗(まいせん)巡りもどうですか?

洗足池公園を一周して時間が余ったなら、馬池洗の他のスポットを巡るというプランも検討したいもの。

馬池洗とは、東京都大田区中央部にある馬込・池上・洗足池の総称のことです。今回は洗足池でのソロ活をご紹介しましたが、「大田区立郷土博物館」がある馬込、「池上本門寺」がある池上など、大田区には他にも魅力的なスポットがたくさんあります。

洗足池は、豊かな自然と、周辺のお店や人々の活気とが共存する素敵なところでした。歩けば歩くほど、ひとやすみに使いたいお気に入りの場所や、学びのある場所、通ってみたい美味しいお店が見つかりました。

もちろんソロ活でなくとも、友達同士やカップル、家族とででもまた違った楽しみ方ができそうです。ぜひ一度洗足池をぐるっとお散歩してみてください。

本記事のライター:岩井なな

プロフィール:
大学時代にオーストラリア、アメリカ、フランス、タイへの一人旅を経験。新しいもの、歴史を感じるものに関わらず、美しい建築に目がない。そのため、休日にはオシャレホテル宿泊、美術館や図書館巡りをして過ごしている。
現在は、東京都と富山県の2拠点生活を送る取材・インタビューライターとして、旅メディア・地域情報メディアを中心に活動。可愛いキャラクターが大好きで、大田区公式PRキャラクター「はねぴょん」がお気に入り。

監修:松本里美/三好順