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  • 2025.3.7
  • グルメショップ&お土産スポット

都内有数の名所「池上梅園」大田区の花「うめ」を愛でる&本門寺公園もお散歩

大田区の花をご存知ですか? 実は「梅」なんです。そんな梅の花が見頃を迎えたので、大田区の梅の名所として知られる「池上梅園」に行ってみることにしました!

梅は古来より春を告げる早春の花として親しまれ、「春告草(はるつげぐさ)」という季語にもなっています。徐々に春めいてきた陽気に誘われて、梅見のついでに近くの本門寺公園にも足をのばし、ぶらりとお散歩してみました。

地元で愛される「ヤシパン」のキュートなパンを池上散歩のお供に!

今日はいっぱい歩く予定なので、途中でお腹が空きそう……ということで、まずは散歩のお供にパンを買っていくことにしました。訪れたのは、池上本門寺のすぐ近くにある、地元で愛される小さなパン屋さん「ヤシパン」。焼きたてのパンのいい香りが、ふわ〜っと参道に漂っていて、前から気になっていたのでした。

小さなショーケースには惣菜パンや甘いおやつ系パンがずらりと並んでいます。バゲットや食パンも入れると、常時35種ほどになるそう。うーん、どれも美味しそうで迷ってしまう……。小ぶりなサイズなので、お昼に3つぐらいは食べられそう。迷った末に、バジルチキンのパニーニ(290円)と明太フランス(260円)、アップルパイ(270円)を購入。どんなルックスのパンなのかは、味とともに食べるときにご紹介します!

パン職人の旦那様と店頭に立つ奥様の鈴木愛子さんがご夫婦で営むヤシパンは、パン工房に併設の店舗という感じの作りで、店内には焼きたてパンの香りが満ちています。

「私が池上出身で、地元だし、この寺町の感じがいいなと思ってここに出店しました。うちは日常的にご来店くださる近所の方が多いんです。翌朝のパンを買いに来たり、子どものお迎え途中におやつパンを1つ買って自転車の後ろで食べさせながら帰ったり。水分量が多くて、牛乳なしでも食べられる飲み込みやすいパンなので、シニアや子どもに人気ですね」(愛子さん)

食パン(1斤340円)は9時30分と14時、バゲット(1本310円)は10時30分に焼き上がるそう。焼き上がりをめがけて続々とお客さんが集まってきます。サンドイッチ用に食パンを買いに来た常連さんに、こちらのパンの好きなところは?と聞いてみると「無添加でもっちりしてて、ほんのりと小麦の甘さが感じられて、毎日食べても飽きが来ないの。ここのパンだとサンドイッチに何を挟んでも美味しいのよ」と教えてくれました。

私がショーケースの前で迷っている間にも、取置きのバゲットを取りに来たご婦人や、慣れた感じでスイスイとパンを選んでいく紳士など、常連さんと思しき方々がひっきりなしに訪れていました。売り切れ御免なので、午前中、早めの来店をお勧めします!

ヤシパン

所在地:大田区池上4-23-9
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約5分
TEL:03-6312-9101
https://www.instagram.com/bakery_yashipan/

見頃の「池上梅園」で梅の世界にひたる

池上梅園は、丘陵斜面を利用した庭園で、ツツジや牡丹など50種の樹木と四季折々の花が楽しめるスポットです。特に大田区の花である梅は30種あまりあり、2月上旬の「寒衣(かんごろも)」から3月上旬の「八重揚羽(やえあげは)」まで、早咲き・遅咲きなど開花時期が異なる梅が植えられているため、見頃が長いことで知られています。

池上梅園までは、池上駅から本門寺通り方面に向かい、池上本門寺総門から徒歩15〜20分ほど。道沿いには、気になる小さなお店があったり、由緒あるお寺があったり。ぶらぶら歩くだけでも楽しいコースです。

ちなみに池上周辺のお寺では、寺巡りのスタンプラリーも楽しめるそうです。詳しくはこちらの記事をどうぞ!

池上でお寺を巡るスタンプラリー! あま~い「久寿餅」とハワイアンな「ハンバーガー」で至福のひとやすみ

同じ梅でもみんな違う? 30種もある梅を見比べてみると……

園内は赤っぽいピンク、白っぽいピンク、さまざまな色の梅が咲き乱れています! 正直、梅の花がこんなに種類豊かだったなんて知りませんでした……。ピンクの濃さが違い、一重、八重など多様な花の形があることも改めて知ることができました。梅って奥が深いんですね!

青空に映える紅梅の鮮やかなピンク。梅の木は背が低いものが多いので頭上近くに花があり、写真が撮りやすいのもいいですね。撮影していると梅の甘い香りに包まれました。

斜面を登っていくと「見晴台」があります。梅の花、下から見るか、上から見るか。さまざまな角度から映えるカットを探して、シャッターを押す手が止まりません!

以前、花屋さんで聞いたのですが、梅は、花だけでなく枝振りも楽しむものらしいです。力強く空に向かって伸びる枝に、ポップコーンのようなかわいらしい花がぽっぽっと咲いている様は、春の芽吹きという感じ。まさに「春告草」ですね!

赤っぽいピンクと白っぽいピンクの梅が、点描画のように青空を彩ります。園内には、同じ木に紅白の花を咲き分ける「思いのまま」という品種もあるそうです。今回私は見つけられませんでしたが、ぜひ探してみてください。

スロープを登って梅林を回廊のように散策することもできました。梅の花を間近で楽しめる、絶好のフォトスポットです。

雪吊りや水琴窟も! 梅以外の見どころもありました

園内には、梅以外にも見どころがたくさん。冬の風物詩・雪吊りもありました! 私は、兼六園で初めて見てから日本の伝統美・雪吊りの大ファンなので、ここでも見られてうれしかったです。今年は積雪なしでしたが、こちらで雪景色の中の梅と雪吊りをいつか写真に納めてみたいです。

また、園内には趣のある茶室がいくつかあります。数寄屋造りの茶室たちは、大田区に寄贈された由緒あるものを移築したものだそう。なんと茶室・和室の貸出もしていて、茶会や句会に利用することもできるそうです。梅を愛でながらの句会や茶会……なんて風流な!あこがれます〜。いつか参加してみたい。

水琴窟(すいきんくつ)もありました!こちらは、大田区雪谷の民家で発見された昭和10年代のものを移築したのだそう。水琴窟とは、水滴が水瓶の中に落ちる時に水音が反響して琴のような澄んだ音を発するものです。耳を澄ますと、水が流れる音とともにかすかに鉄琴のような音が聴こえました。この侘び寂びの世界、海外の方にも体験してほしいな〜。

夜にはライトアップも!

(画像:大田区広聴広報課様ご提供)
今回は午前中に訪れたため残念ながら見られませんでしたが、梅の開花時期は、期間限定で日没から20時まで、ライトアップも実施しているそうです。夜空に映る梅の花も幻想的でいいですよね! 夜桜ならぬ「夜梅」を楽しんでみてはいかがでしょうか。


(画像:大田区広聴広報課様ご提供)

住所:大田区池上2-2-13
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約20分、都営浅草線「西馬込」駅から徒歩約10分
TEL:03-3753-1658(池上梅園事務所)
https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/park/ikegamibaien.html

広くてのどかな「本門寺公園」をお散歩

梅見の後、ちょっと休憩しようと、五重塔の東側にある本門寺公園に向かいました。池上本門寺の本殿と大堂の間の紅葉坂を下り、左側に進むと公園西側の入口があります。高台から斜面を下るかたちで敷地が広がる、都会の隠れ家のように静かで、緑豊かな公園です。

斜面を下って行くと、幼児用のブランコや滑り台のある子ども広場や弁天池、グラウンドがあります。中腹には、有料・事前予約制のデイキャンプ場もありました。水場やテーブルがあり、バーベキューを楽しめるそうです。森の中にある公園なので木陰が多く、この日は少し汗ばむぐらいにぽかぽかしていて暑かったので、ひんやりと涼しく過ごしやすかったです。

園内に梅の木はありませんでしたが、桜の木に囲まれた「桜の広場」がありました。ここは桜が満開の頃はきっと綺麗なはず! 池上本門寺の境内の桜は混雑必至ですが、裏手にあるこちらの公園の桜は意外と穴場かもしれませんね。

園内にはところどころにベンチがあり、ピクニックにも最適な公園です。さっそくヤシパンで買ってきたパンをベンチに座っていただくことにしました!

チキンバジルのパニーニは、ご覧のとおり具材たっぷり。パニーニなのにしっとり感もあり、あっという間に完食してしまいました。

明太フランスは、パリッとした皮の香ばしさ、バゲットらしい美味しさと、もちっとした中身の旨味が絶妙なバランスでした! 小さめサイズなのもあり、1本ぺろりと食べてしまいました。小麦の味がするパンでありつつ、惣菜パンとしても完成度が高い。病みつきになる味でした。リンゴの形のアップルパイは、サクサクのパイ生地とリンゴの甘さのハーモニーが最高! たくさん歩いて疲れた体に、程よい甘さが沁みわたります。

本門寺公園

所在地:大田区池上1-12-1
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約15分
https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/park/honmonnji.html

「DAILY SUPPLY SSS」の温かいコーヒーと雑貨でほっと一息

公園で小腹も満たし、小休憩したところで、池上駅の方まで戻ってきました。最後にほっと一息つきたくて入ったのは「DAILY SUPPLY SSS(デイリー・サプライ・エスエスエス)」。

池上駅から徒歩2分。交差点の角にあり、通りに面したコーヒースタンドでは、自家焙煎のこだわりのコーヒーが味わえます。1杯ずつハンドドリップで淹れてくれるコーヒーは、シングルオリジン(480円〜)のほか、毎日飲んでも飽きないブレンド(420円)も人気だそうです。エスプレッソやカフェラテ、ジュースもありました。

コーヒー豆は常時7種類+ブレンドを販売しているそう。100g900円ぐらい〜。幅広いラインナップのコーヒー豆たちを紹介してくれる中嶋さんの話が面白すぎて、ずっと聞いていたかったです!

ベビーカーを押した赤ちゃん連れのご家族や、散歩中に立ち寄るご老人など、さまざまな人がSSSにやってきます。「0歳から90歳くらいまで、うちの客層は幅広いですね。目的はいろいろですけど」とコーヒーを淹れながら話してくれた中嶋哲矢さんは、実は現代美術作家なのだそう。「僕らはモノづくりというよりもアートプロジェクトを手がけるほうで。池上にお店を出したのも町づくりプロジェクトがきっかけで、もともと新横浜でやっていたSSSを池上に持ってきたのが3年ぐらい前かな」。


「SSS」は、中嶋さんと小田桐奨さんによるアーティストユニットL PACK.が営むショップ&ギャラリーです。ガラス張りの店内に並ぶセンスの良い雑貨(日用品)は、中嶋さんがセレクトした「誰かにとったら日用品になる作品」たち。アートは美術館やギャラリーの中だけにあるものではなく日常にあるものだそうです。中には、L PACK.が手がけたアートプロジェクトで使われた品々もあります。

イートインでは作家もののコーヒーカップで飲むことができます。コーヒーの個性に負けない個性的なカップで飲む一杯は格別!テイクアウトの紙コップには、L PACK.作のオリジナルハンコをランダムに押してあります。中嶋さんの手にかかると、一気にアート感が増して、一杯のコーヒーが特別なものになってくるから不思議です。

私はブレンドをいただきましたが、程よい深みと苦みが効いた、まろやかな一杯でした。確かに、毎日飲んでも飽きない味。近くにあったら毎日通っちゃうな〜。

店内では、ポップアップショップや展示会を随時開催していて、訪れるたびに新しい出会いがあります。「ジャンルはいろいろですが、場所貸しはしないので、一緒に企画して一緒にやることが多いですね」という、中嶋さんのキュレーションによる催事を楽しみに通われている方も多いようです。美味しいコーヒーをいただきながらアート作品にも刺激を受け、心も体も満たされ大満足でした。

DAILY SUPPLY SSS

所在地:大田区池上3-41-3ハウスコンフォート102
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約2分

https://www.dailysupplysss.net/

馬池洗(まいせん)巡りもおすすめ

池上梅園は初めて訪れましたが、見頃の梅の見事さは感動ものでした! パン屋さんやコーヒースタンドなど、地元グルメも楽しめ、お寺だけじゃない池上の魅力を知れる散歩で楽しかったです。

なお、大田区には「馬込・池上・洗足池」を総称した「馬池洗(まいせん)」と呼ばれるエリアがあります。今回訪れた池上はもちろん、桜の名所でもある洗足池公園や、カフェ巡りが楽しめる馬込など、見どころ満載です。ぜひ馬池洗巡りも楽しんでみてくださいね!

本記事のライター:宮原香菜子

日本大学芸術学部写真学科卒。情報誌や旅行ガイドブックの編集プロダクションを経て、フリーランスのライター・編集・ときどきカメラマンに。街歩きやグルメ取材、旅先のリアルなレポート記事を得意としています。趣味と実益を兼ね、おてんば盛りの小学生の娘が思いっきり遊べて、大人も楽しめるスポットを日々発掘しています。ママライターとして子育てに役立つ情報をWebや雑誌で発信中です。


監修:松本里美/三好順