2025年11月15日~26日、「東京2025デフリンピック」が開催されます。
デフリンピックは、国際的な「きこえない・きこえにくい人のためのオリンピック」 であり、パラリンピックよりも長い歴史を誇ります。
今回の大会は日本で初めての開催であり、さらに開催100周年という記念すべき節目を迎えます。
その舞台のひとつとして、大田区へ国内外の選手や応援団など多くの方が訪れます。
デフリンピックでは、選手たちは音の代わりに目の合図や手話を使ってプレーします。
100周年を機に、デフアスリートと共に開発された音に頼らない応援「サインエール」も登場。
この「サインで伝える応援」を使って応援するのもデフリンピック観戦の楽しみ方になりそうです。
また、大田区公式PRキャラクター「はねぴょん」も、デフリンピック応援隊として大会を一緒に盛り上げています。

会場付近の商店街では、選手を歓迎するフラッグやコミュニケーションシートが用意されているお店もあり、誰もが安心して参加・応援できる環境が整えられています。
大田区では、
ビーチバレーボール(大森ふるさとの浜辺公園)
バスケットボール(大田区総合体育館)
の2競技が開催され、どなたでも予約不要、無料で観戦できます。
国内外からの来場者も多く訪れることが予想され、まち全体が国際的な交流の舞台となります。
本記事では、デフリンピックを100倍楽しむための「まちあるき&観戦ガイド」として、会場周辺のおすすめスポットや応援の楽しみ方をご紹介します。
2025年11月15日(土)〜11月26日(水)
大田区での競技種目
ビーチバレーボール:大森ふるさとの浜辺公園(11月16日(日)〜11月25日(水))
バスケットボール:大田区総合体育館(11月16日(日)〜11月23日(日))
【大森ふるさとの浜辺公園】
最寄駅:京急本線「平和島駅」徒歩15分
羽田空港から:京急線で約20分
【大田区総合体育館】
最寄駅:京急本線「梅屋敷駅」徒歩5分/京急蒲田駅徒歩7分
羽田空港から:京急線で約15分
会場は大田区の羽田空港から直通で来られる立地が魅力です。
試合観戦前後に大田区の観光やグルメ、銭湯など、まち歩きを楽しむには絶好のチャンスです。
砂の上で2人1組が息を合わせ、視線とジェスチャーで勝負を繰り広げるデフリンピックのビーチバレーボール。
音の代わりに目で合図を読み取り、静寂の中に熱気があふれる試合展開は、まさにデフスポーツならではの魅力。
大森ふるさとの浜辺公園では、白い砂のコートを舞台に世界のトップ選手たちの華麗なプレーを見ることができます。
その熱戦が繰り広げられる大森ふるさとの浜辺公園では、観戦の合間や前後に砂浜散歩や海風を感じる時間もおすすめ。
ここでは、観戦の前後で巡ることができるスポットをご紹介します。
大森ふるさとの浜辺公園は、砂浜と干潟を備えた都内初の区立海浜公園。
かつての大森海岸をイメージして整備され、区民のワークショップを重ねて誕生しました。
浜辺での砂遊びや、桜・梅が彩る園内散策など、海風を感じながら自然を満喫できます。
隣接する「大森 海苔のふるさと館」では、そんな大森の海苔づくりの歴史にふれることも。
かつて大森は海苔養殖が盛んな地域として有名でした。
高度経済成長期に海苔養殖地は埋め立てられることとなり、大森での海苔養殖の歴史は幕を閉じましたが、その技術は全国に広がり今も息づいています。
大森本場乾海苔問屋協同組合には今も全国の海苔が集まり、入札は現在も続き50件近くの海苔問屋も集積しています。
「大森 海苔のふるさと館」は、そんな歴史や海苔づくり文化を学ぶことができる、観光にもピッタリな施設です。
平和島で人気の洋食レストラン。地元で長く親しまれているアットホームなお店です。
座席も多く、試合後のランチや家族連れにもおすすめ。
大森ふるさとの浜辺公園から京急本線平和島駅に向かって歩くこと15分。平和島駅近くの商店街の一角にお店が見えてきます。
袖看板のかわいいロゴが目印。
店内は外から見るより広く、カウンター・テーブル合わせて全部で23席。
中に入ると気さくなシェフの田中俊也さんと、笑顔で明るいスタッフ看板娘の明石優子さんが出迎えてくれます。
創業27年の歴史で昔ながらの常連さんも通うお店ですが、最近では若いお客さんや観光客も増えているそう。
アットホームでありながら、程よい距離感もお店の魅力です。
お店のメニューは品揃えが多く、何にしようか見ているだけでワクワク。
看板メニューの洋風カレーは、創業以来の定番メニュー。
創業時から一緒にお店を切り盛りし、3年前に他界されたマネジャーの勝ちゃんも一押しだったメニューだとか。
食べてみると、口に入れた瞬間に辛さの奥にコク深い甘みが広がります。
その秘密は、玉ねぎを炒め、丸鶏や牛骨などを長時間煮込んでいるという、徹底的に手のかかった仕込みにあるとのこと。
非常に手間がかかるのにも関わらず、すぐに売り切れてしまうほどの人気があります。
そして、新たにメニューとして加わり人気となっているのが、串カツと天然本マグロ赤身と中トロのセット。
見た目も豪華な一品です。
こだわりの林SPF豚を使った串カツは肉の旨味がぎっしり。
「まずは塩で食べてみて」
柔らかく、口全体に旨味が広がります。
塩も沖縄の特別な塩と岩塩の2種類を用意しているこだわりぶり。
さらにソースをかけるとフルーティーで複雑な味わいもプラス。
市販のソースは使わず、全てお店でフルーツなどをブレンドして作っているとのことです。
有名ホテルのフレンチ出身シェフのこだわりがここにも詰まっています。
一方のマグロは口に入れるととろけてしまうほど脂がのっているのに上品な味わい。
お店に食事に来たつながりから、銀座の有名鮨店に卸している豊洲の問屋さんから直接仕入れているとのこと。
そして、豚汁はもちろん、小鉢のぬか漬けや和惣菜まで、全て手作り。
「全てに手加減しないことがお客様に対する敬意」とシェフは言います。
他にも、自家製のローストビーフや牛すじの煮込みなど、アラカルトも充実。お酒を飲みながら楽しむお客さんもいるそうです。
どれも大満足の料理でした。
応援でお腹が空いたら、心もお腹も満たしに行ってみてはいかがでしょうか。
所在地:東京都大田区大森本町2-33-1
アクセス:京急本線「平和島」駅徒歩3分
TEL:03-3768-2044
営業時間:11:30~14:30、17:00~22:30(定休日なし)
京浜急行線平和島駅から徒歩1分。昔ながらの情緒漂う居酒屋があります。
店長は3代目の名倉瑛志朗さん。
最初はお店を継ぐかどうか迷っていたと言いますが、子どもの頃から親しんだお店を残していきたいと決意。
今ではお客さんの「美味しい」「また来るね」という言葉にやりがいを感じ、「一生続けたい」と笑顔で語ります。
先代のお父さん、奥さん、おばあちゃん、妹さん、と家族みんなで営んでいます。
最近リノベーションされ、昔ながらの雰囲気を残しつつも今風に生まれ変わっています。
近隣では珍しく1階43席、2階70席、と観戦後の打ち上げにみんなで訪れるにもぴったりのお店です。

昔からの常連さんに加えて、最近では20代のカップルや海外からの観光客など、新しいお客さんも増えているそう。
最大の魅力は、「安く美味しいご飯を提供する」というモットーのもと、先代から受け継いだ味を大切に守り続けていること。
まず食べていただきたいのが、名物の「どて盛り合わせ(牛すじ入り)」。
創業当初から名古屋出身のおばあちゃんが秘伝の赤味噌を使って、継ぎ足し続けている味。
具材には、大根、こんにゃく、卵、そしてスジなど、様々な種類が入っており、シェアして食べるのにぴったりです。
濃厚でしっかりとした味付けで、どの具材も奥まで味がしみ込んでおり、特にキンキンに冷えたエクストラコールドビールとの相性は抜群。
創業当時から変わらない、慣れ親しんだ味付けは、お客さんに満足してもらえるよう工夫されています。
寒い時期に登場する「もつ煮込み」は、冬限定で提供される季節の逸品です。
どて盛り合わせとは対照的に、あっさりとした塩系で仕上げられているのが特徴。
味付けは、三代目でさえまだ教わっていないという、お父さん(二代目)秘伝のレシピであり、「悪魔の味付け」と呼ばれているとか。
他にも、手作りの唐揚げや、人気のマグロメンチといった定番メニューに加えて、おばあちゃんが近所の八百屋で仕入れた旬の食材を使った日替わりメニューも。
店を継いだ瑛志朗さんは、新たなメニューとしてカルパッチョなどの洋食メニューにもチャレンジしており、今後新たなメニューも楽しめそうです。
Instagram(アカウント:bokuden__)で情報を発信しており、休業日や営業時間をチェックするのがおすすめです。
少人数から大人数まで、手の込んだ料理を楽しみながら一杯。
観戦後にワイワイと余韻を楽しんでみてはいかがでしょうか。
所在地:東京都大田区大森北6-27-1
アクセス:京急本線「平和島」駅徒歩1分
TEL:03-5493-1638
営業時間:月・水・木曜16:00~23:30、金曜16:00~24:00、土・日15:00~23:30(不定休)
※営業時間が変わる場合があります。
Instagram(アカウント:bokuden__)にてご確認ください。
公式Instagram:https://www.instagram.com/bokuden__
デフリンピックのバスケットボールでは、きこえない・きこえにくい選手がプレーするため、目で見て分かる合図が使われます。
その代表が「フラッグマン」です。
コートの端に立ち、審判の笛やブザーのタイミングに合わせて旗を振って合図します。
選手たちはこの旗の動きを見て、プレーを止めたり再開したりします。
きこえない・きこえにくい選手でも公平に試合を進めるための工夫であり、フラッグマンは試合の進行を支える重要な存在です。
こうした独自の仕組みにより、デフリンピックのバスケットボールは独特の魅力を持っています。
バスケットボールの観戦前後は会場近くの梅屋敷商店街のまちあるきもおすすめ。
レトロな商店街で、昔ながらの喫茶店、大森名物の海苔屋さんでのお土産、銭湯など、周辺散策を楽しんではいかがでしょうか。
京浜急行線梅屋敷駅から東邦大学医学部に向かって梅屋敷商店街を歩いて進むと、左手にどこか懐かしい喫茶店が見えてきます。
昭和54年に開業した「珈琲 琵琶湖」。
昔ながらの喫茶店として地元に根ざし、3世代にわたって通う常連もいる温かな店です。
屋号の「琵琶湖」は、店主の吉岡修三さんが開業する際に、父親が同じ場所で営んでいた乾物屋「琵琶湖屋」から引き継いだもの。
テレビドラマや有名アーティストのミュージックビデオのロケ地としても多くの撮影にも使われており、木のぬくもり溢れる内装は創業当時のまま。
いわゆる「聖地巡礼」で訪れるお客さんも多く、「ここに来てくれることで、梅屋敷商店街の活性化に少しでもつながれば」と積極的に依頼を受けていると言います。
100種類以上あるメニューは、週に何度も訪れる常連さんでも飽きの来ないように、と徐々に増やしていったもの。
中でも「昔ながらのナポリタン」は常連さんだけでなく、観光客からも注文の多い一番の人気メニュー。
食べてみると、香ばしさと濃厚なケチャップの甘酸っぱさが口の中に広がる、まさに「昔ながらの喫茶店ナポリタン」。決して期待を裏切らない味です。
ボリュームもたっぷりで、ピーマンや玉ねぎの食感もあり、懐かしさと満足感が同時に押し寄せます。
スイーツも見逃せません。
種類が多く注文に迷ってしまいますが、中でも人気の一品が「チョコレートパフェ」。
濃厚なチョコレートソースとホイップクリームがたっぷりのパフェは、甘さとほろ苦さのバランスが絶妙です。
サクッとしたクランチが食感のアクセントにもなり、最後まで飽きずに楽しめます。
他にも、トーストやピラフ、グラタン、デザート類などメニューも多彩。
どれも商店街を訪れるお客さんのために「価格を押さえながらも良いものを提供したい」と考えられたもの。
昭和の香り漂う落ち着いた店内での、美味しい食事とコーヒー。
観戦後に心を落ち着かせて感想を語り合うのにもぴったりです。
所在地:東京都大田区蒲田2-4-7
アクセス:京急本線「梅屋敷」駅徒歩5分
TEL:03-3739-4986
営業時間:7:15~16:00、ラストオーダー15:30(水曜定休)
※材料が無くなった場合は16時よりも早く閉店することもあります。
大森はかつて海苔養殖の盛んな地域でした。その名残もあり、今でも多くの海苔店が営まれています。
梅屋敷の商店街の老舗・並木海苔店もそんなお店の一つ。
「珈琲 琵琶湖」の隣にお店を構えています。
100年近くの歴史を持ち、現在は3代目の並木隆明さんが営んでいます。
お土産にもぴったりの様々な海苔を置いており、観光客にも人気のスポットともなっています。
並木海苔店の特徴は、店舗での小売販売の他に、飲食店などへの卸業も行っていることです。
両方のお客さんに対して販売しているため、取り扱っている海苔の種類も多く、価格もリーズナブルに提供できると言います。
海苔に詳しいお客さんからは、「この海苔がこの価格で?」と驚かれることもあるそう。
海苔屋さんの仕事は、漁師さんから仕入れた海苔を加工して販売することにあります。
専用の機械で再乾燥を行い、焼き上げ、用途に応じた大きさに切断して袋詰め。
こうして、私たちが普段目にするおなじみの海苔が出来上がります。
中でも「焼き」の技術こそが、海苔屋さんの腕の見せどころだと並木さんは語ります。
店頭には30種類ほどの海苔が豊富に並んでおり、見ているだけでも楽しいひとときです。
価格帯も100円台から1,000円台までと幅広く、用途に応じて選ぶことができるのも専門店ならでは。
海苔の用途は多岐にわたり、用途によって種類が異なります。
例えば、お寿司屋さんの海苔とラーメン屋さんの海苔は全く異なり、産地や収穫時期も異なると言います。
迷ってしまいますが、来店し相談できるのが対面販売ならではの良さ。
海苔専門店での買い物もこの場所ならではの体験。
観戦の記念や旅の思い出に、「大森の味」をお土産に選んでみてはいかがでしょうか。
所在地:東京都大田区蒲田2-4-7
アクセス:京急本線「梅屋敷」駅徒歩5分
TEL:03-3761-5538
営業時間:10:00~18:30(日曜・祝祭日定休)
公式HP:https://namikinori.com/
デフリンピックは、観戦と周辺散策の両方を楽しむことのできる絶好のチャンスです。
ぜひ、会場周辺のグルメやスポットも楽しんでください。
大田区の2会場はいずれも無料で観戦可能で、観戦前後にはグルメ・銭湯・海辺散歩など楽しみ方がいっぱい。
海辺周辺の散策におすすめのパンフレットはこちら
銭湯の数は都内最多!銭湯パンフレットはこちら
この機会にぜひ大田区を訪れてみてはいかがでしょうか。
本記事のライター:野江泰介
プロフィール:東京都大田区の中小企業診断士・一級建築士。高校生から取材・執筆活動に携わりインタビュー記事を執筆中。仕事を頑張り、楽しむ人を応援。
監修:NPO法人大森まちづくりカフェ
「大森まちづくりカフェ」は情報紙の発行や地域密着型のイベント企画など、まちの魅力を発見し伝える事業を通じて、大森がもっといきいきするような交流の場(=カフェ)の構築を目指すNPO法人です。