2025年8月24日(日)、第20回 池上まつりに行ってきました。
子どもはもちろん、大人も楽しめる要素がたっぷり!
池上という町の魅力を知るに相応しい、この池上まつりの魅力をお届けします。
筆者は大田区歴13年でありながら、池上まつりは初参戦でした。
池上まつりは大田区池上地区自治会連合会さま、池上まつり実行委員会さまの共催です。
とにかくイベントが盛り沢山で、子どもも大人も楽しめる内容が一日ぎっしり!(あまりの見どころの多さに驚愕でした) あたたかい「地域の文化祭」、「池上の文化祭」という印象を受けました。
しかもこの規模のお祭りが、地域住民のボランティア組織で運営されていることにも驚きです。
開催場所は池上本門寺そばの大田区立池上会館、大田区立池上小学校およびその周辺です。
東急池上線「池上駅」から徒歩10分。東急バスなら「本門寺前」から徒歩7分ほど。
池上本門寺の正門を右に曲がったあたりから模擬店が立ち並び、道なりに進んだ先に池上会館周辺がみえてきます。
子ども乗せ自転車ユーザーにはありがたいことに、池上小学校の校庭が駐輪場として開放されていました。
猛暑のなか、駐輪場の交通整理をしてくださったのは日本体育大学荏原高等学校と都立大森高等学校の生徒さん。爽やか&感じが良い生徒さんばかりでビックリしました。
自転車は入口で降りて、校庭の奥から駐輪していきます。
筆者は足を少し怪我していたので「奥まで歩くのはしんどいな・・・」と思ったのですが、生徒の皆さんは私の様子にすぐに気づき、「こちらへどうぞ」と入り口に近いエリアに誘導してくださいました。爽やかな気配りに、お祭り会場に着く前から感動しちゃいました。
この日の最高気温は36度。帽子にラッシュガード、サングラスに日傘と完全防備して行きました。
実は行く前、「ずっと野外にいるのは辛いな」と不安だったのですが、結論は「大丈夫でした」。
なぜなら、冷房が効いた池上会館で【涼】をとれるから!
規模に対して会場エリアはコンパクトなので移動しやすいんです。
筆者は、まずは外をフラフラ▶︎池上会館内の展示を見る▶︎屋外ステージを鑑賞▶︎朗子会館で独自に開催されていた写経を体験▶︎模擬店で飲食▶︎室内ステージでミュージカル鑑賞
こんな風に、屋外と屋内を交互に回っていたら、気づけば4時間も滞在していました。
(見どころがたくさんあるので、それでもまだ足りない感じでした)
野外ステージは、ステージも観覧席もテントが設営されており有り難かったです。
和太鼓やフラダンスなどなど、ステージプログラムは一日中びっしり!
池上まつりの模擬店は大田区に縁がある事業者や団体を中心に公募で募り、39のお店が出店していました。
子育て世代にとって嬉しいことに、お好み焼きや焼きそば、かき氷などキッズ向けの定番メニューはきっちり揃っていました。
かき氷はなんと150円、お好み焼きは400円。
驚きのローププライスには理由がありました。
池上まつりは「子どもに夏休みの思い出を作ってほしい」という気持ちで運営されているため、実行委員会によると「子ども向けメニューは、小学生がおこづかいで買える価格帯にこだわってます」とのこと。(大人向けのものも、あまりに高額な物販の事業者はお断りしているそうです)
子ども向けお料理教室を主催する「青空キッチン」さまは、生徒さん25名が企画・運営にチャレンジ!
「どんな人が来るのかな」
「準備に必要なものはなんだろう?」
「いくらくらい材料費にお金がかかるのかな?」
たくさんの話し合いを経て出店したのは「セパレートドリンクづくり」ショップ。
オリジナルレシピを、キッズのスタッフがキッズのお客さまにレクチャーし、自分でドリンクをつくるワークショップ形式のお店です。
「買う」も楽しいですが、「自分で作る」のはさらに楽しいですね!
「お祭りの模擬店は、子ども向けのものばかり」というイメージはありませんか?
筆者はありました。
でも池上まつりは違います。今まで知らなかった「池上グルメ」との出会いと発見だらけでした。
(池上エリア以外のグルメも!)
ノミガワスイーツさまのお店で、パティシエがつくる大人のかき氷「生いちごシロップ」をいただきました。
筆者は「大人のかき氷」初デビューだったのですが、生のいちご(贅沢)と練乳、ふわふわの冷たい氷とのハーモニーがウマーーーーーー!!
お洒落なカフェにいるかのような至福のひと匙、これはハマる!!
このクオリティで600円はお得すぎると感じました。
大きめで食べきれるかな、と思ったのですが、一瞬で食べ切ってしまいました。
五代目北嶋屋さまは「世界で一つのプレゼント」をコンセプトに、厳選されたお酒を量り売りで提供する酒屋さんです。
生原酒、秘蔵焼酎、梅酒等を試飲して選び、オシャレなボトル(四合瓶、一升瓶、花瓶等に再利用可)に入れた状態で購入できるそうです。
ギフトや景品にピッタリではないですか!!
当日は「大田のお土産100選」に選ばれた純米吟醸 生原酒「新田浪漫」の限定ラベルが販売されていました。
北澤スイーツさまは雑誌『おとなの週末』(講談社)のランキング2位に輝いた「プヂン」を冷凍販売。
プヂンとは、ブラジルの伝統のお菓子です。1つ購入して、家で解凍して食べました。
プリン生地を、ココアケーキと苦味を効かせたカラメルではさんだもので、まるでケーキみたい!
ちなみに同じく現地で販売されていた「自家製の辛口ジンジャーエール」も気になりました。
「微生物カフェ HITONAMI」は大田区池上にあり、味噌や甘酒、ぬか漬けといった微生物(発酵食品)をふんだんに使用した健康志向の料理を提供するカフェです。(ご友人との共同出店です)
有機野菜や抗生物質不使用の精肉、健康で安全な卵や牛乳、添加物不使用の調味料を選んで使用し、お味噌汁は鰹節から取った出汁を使用しているそう。
筆者はめちゃくちゃ気になったので、このお店、絶対行きます!
大田区のビール工場「羽田ブルワリー」から直送される新鮮なクラフトビールの販売です。
自転車で行ったので筆者は飲めませんでしたが、炎天下のなか、吸い寄せられゆく大人たちの姿がありました(笑)。
「実は、池上まつりは職人の伝統技術を守り伝えることを目的にはじまったお祭りなんです。池上会館にメインコーナー『池上職人尽くし』を設けていることは、他のお祭りとは一味違う魅力だと思います」
と語るのは池上地区まちおこしの会の高橋知之さん。
池上職人尽くしコーナーには「大田区伝統工芸発展の会」のメンバーの作品が展示され、工芸実演・体験が行われました。
・江戸表具 春原敏雄さん
・伊勢型紙 宮崎正明さん
・畳刺し 柳井博さん
・東京手描友禅 町田久美子さん
・フルーツカービング 小野恒夫さん
コーナーに一歩足を踏み入れると、昔なつかしい畳の香りにふわっと包まれました。
・アオイネオンさま
看板を手がけるアオイネオンさまは、職人の手作業で作られる「ネオン管」による看板を紹介されていました。
近年、看板の市場から姿を消しつつあるネオンをアートで表現し、コンサートやMV、ファッションショーなどエンターテイメント業界に参画するなど、新しい魅力を発信し続けているそうです。
この「池上職人づくし」コーナーは、大田区に縁があるアートディレクター・クボタタケオさんが監修する伝統文化と現代アートが融合する空間です。
中央に展示された全長3mを超える巨大オブジェ「benu-紅」に目を奪われました。
こちらは福島県郡山市出身のアーティスト・サカモトナホさんが5年かけて制作した作品で、モデルは再生・復活のシンボルとされるエジプト神話のベンヌ。
再生と希望、記憶の連鎖や個人史の継承といった深いテーマ性があり、凄まじい存在感を放っていました。
素材はMADE IN JAPANにこだわり、織物やリサイクル着物店で出会った着物、畳のへりなど。
職人の手仕事で作られた生地で表現されるアートは、心にグッとくるものがありました。
サカモトナホさんは日本の伝統的なうちわ「渋うちわ」を1つ1000円で販売しており、購入すると墨で文字入れしてくださいました。
渋うちわとは、和紙に柿渋(しぶ=渋柿を発酵させた液体)を塗って強度・耐水性を高めた「渋紙(しぶがみ)」を使って作られたうちわ。渋紙は丈夫で水に強く、江戸時代から傘などに広く活用されてきたといいます。
渋うちわは見れば見るほど味わい深く、一生ものになりそうです。
(現代は使い捨てるモノばかりですが、昔はこうやって、職人の技で長く使えるものが支持されていたことをしみじみ実感…)
文化や伝統を守る人、それを伝える人、表現する人のエネルギーに触れ、筆者は圧倒されっぱなしでした。
池上まつりの開催にあわせて、朗子会館では、池上本門寺のご住職による写経会が独自に開催されていました。
お子さま向けにひらがなの写経もあるので、親子で体験できます。
涼みながら、書を体験する静かな時間に心が落ち着きました。
室内ステージも充実しており、コーラスやタヒチアンダンス、フラメンコなどの公演が続々と!(日常生活のなかで触れられないプログラムばかり)
劇団みるき〜うぇいのミュージカル公演は毎年人気のプログラムなのだそうです。(協力:大森法人会)
今年の演目は「オズの魔法使い」。たくさんの親子連れで賑わっていました。
「池上まつりはただただ楽しい! 1日滞在できる!」。ミュージカルを観劇しながらそんなことを思いました。
この記事の内容の他にも見どころが多くありました。
・オープニングパレード
・大人も子どもも楽しめる39の模擬店 …池上グルメとの出会い多数!
・屋外・屋内それぞれのステージショー
(楽器演奏・ダンス・ミュージカルスクールによるミュージカル公演など)
・アートディレクター監修「池上職人づくし」コーナー
(職人による実演販売・現代アートの展示)
・お楽しみ抽選会
・大田市場 ブドウ販売
・フリーマーケット
・昔の池上の写真展示
・自衛隊東京地方協力本部による車両展示
・東急電鉄による「のるるん」と写真撮影会
・阿波踊り
この疑問を、実行委員長の川上清彦さんにお聞きしました。
「子どもたちをはじめ地域の皆さんに、池上で楽しい夏の思い出を作ってほしい。実行委員の想いはそれだけです」
この思い一つでお祭りを運営し、なんとゴミの分別も含め、ボランティアで担ってくださっているとのこと。本当に頭が下がります。(池上まつりに限らず、お祭りに行かれる際はゴミの分別にぜひご協力しましょう!)
ちなみに模擬店の運営サポートやごみの分別を担当されている秋本恵孝さんと大道勇人さんは、大森第四中学校の「親父の会」のOB。当時荒れていた中学校を、保護者による校内清掃や食事会をきっかけに更生に成功した経験があるそうです。
「当時の中学生が、今では子連れで祭りにきてくれるようになりました。成長をみることができて嬉しいです」。(秋本さん)
「祭りには地域を人たちを一つに、そして元気にするチカラがあるんですよ」。
「人間は本能的に祭り好き。古事記の天岩戸(あまのいわと)神話にも描かれているように、祭りは踊りと笑顔で人々を誘い出し、光を与えるもの。地域の祭りは、住民の心を一つにする“絆”そのものです」。
実体験からそう語るのは、池上まつり実行委員長で元刑事の川上さん。
川上さんの故郷は新潟県の山古志村(現・新潟県長岡市山古志地域)。2004年に新潟県中越地震が発生した際、実家を含むほとんどの集落が土砂崩れや道路崩落により全村避難を余儀なくされました。
地域コミュニティは分断され、バラバラに仮設住宅に避難した村民は孤独に蝕まれていたといいます。
地域コミュニティが再び一つになったきっかけは、被災した翌年、避難先で開催した盆踊りでした。
山古志村には、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」にも記述がある歴史的な祭り「角突き(闘牛)」があり、こちらも同時に実施。
「盆踊りと角突きのために、バラバラに避難していた村民が集結し、みんな一気に元気を取り戻したんです」。
「早く村に帰って、地元で祭りを復活させたい、という強い気持ちが結束しました。諦めていた人も含め多くの村民が帰村を決意し、2007年、約6割の住民がようやく帰村することができました。地元での祭りが復活したときはみんなで感動しましたし、今でも祭りの度に帰っています」。
こういった経験から、川上さんは人一倍「地域のお祭り」を大切にされています。
「池上まつりで地域コミュニティの絆が深まり、いつかは祭りの担い手になったり、子どもや孫を連れて遊びに来てくれたりする日が来たら嬉しいですね」。
筆者はこれまで「お祭り=楽しい」くらいしか認識していなかったので、川上さんのお話に衝撃を受け、「地域のお祭りの存在意義」について深く考えさせられました。
池上まつりは発見だらけでした。
文化と歴史、溢れる活気、そして美味しい池上グルメ。
なんて魅力的な町なのでしょうか。
ステージ担当の八代道子さんは
「池上は素敵な門前町。ここに住みたいと思って20年前に引っ越してきました。文化や歴史が生活の中に息づいていることが池上の魅力だと感じます。お祭りのお手伝いを通じて、地域に溶け込む体験はとても楽しいです」と語られており、このお言葉にすべてが集約されている気がしました。
素晴らしい夏の思い出をありがとうございました。
2026年の池上まつりもどうぞお楽しみに!
・子どものための食育教室 青空キッチン
https://aozora-kitchen.com/
・ノミガワスイーツ
https://n-sweets.com/
※関連記事(大森まちづくりカフェ)
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・五代目 北嶋屋酒店
http://kitajimaya.jp/index.html
・北澤スイーツ
https://kitazawagift.theshop.jp/
・微生物カフェ HITONAMI
https://hitonami.info/cafe/
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・羽田ブルワリー
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・大田区伝統工芸発展の会
https://ota-crafts.com/
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・サカモトナホさん(アーティスト)
https://www.instagram.com/naho.sakamoto74/
・クボタタケオさん(アートディレクター)
https://www.kobochika.com/homepage/html/kubota-takeo.html
なお、大田区には「馬込・池上・洗足池」を総称した「馬池洗(まいせん)」と呼ばれるエリアがあります。
今回訪れたイベントはもちろん、カフェ巡りが楽しめる馬込や、桜の名所でもある洗足池公園、見どころが満載の池上本門寺などがあります。ぜひ馬池洗巡りも楽しんでみてくださいね!
本記事のライター:Hana
プロフィール:大田区歴13年、小学生の姉妹を子育て中。大田区の魅力は知るほどに深く、気づけばすっかりトリコ。
監修:NPO法人大森まちづくりカフェ
「大森まちづくりカフェ」は情報紙の発行や地域密着型のイベント企画など、まちの魅力を発見し伝える事業を通じて、大森がもっといきいきするような交流の場(=カフェ)の構築を目指すNPO法人です。