散歩日和

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蒲田は観光地だった?! ~梅屋敷と菖蒲園~

2010年12月号

 梅屋敷駅から第一京浜沿いにある①梅屋敷公園は、江戸時代から梅の名所として知られていました。文政年間(1818~1830年)の初めに和中散という道中常備薬を扱う商人が、広さ約3,000坪の敷地に梅の名木を集めて東海道を往来する旅人を相手に茶店を開いたことで行楽客を集めたそうです。広重の浮世絵にも描かれ、江戸近郊の梅の名所でした。
 京浜急行線の踏切を渡り、公園の裏手から蒲田方面に抜ける道に入るとまもなく、病除けの信仰が「除病習俗」として区の無形民俗文化財に指定されている②椿神社があります。額堂にかかる麻を借りて首に巻くとせきが止まるとされ、治った時には新しい麻を奉納する風習が伝わっています。
 少し先には、六郷領を支配していた行方弾正直清の居屋敷跡と伝えられる円頓寺、境内に古い開山供養塔を持つ栄林寺、さらには10世紀初めに編さんされた「延喜式」にも記された古社、薭田神社が並び、この地に流れる歴史を思わせます。
 まもなく車の多い通りに出ると、呑川が見えてきます。蒲田小学校のそばに架かる橋は「菖蒲橋」と言いますが、これは明治35(1902)年に現在の蒲田一丁目30番付近に開園し、大正にかけて大いに栄えた菖蒲園に由来します。広さ約1万坪の園内には、各種のショウブや季節の草花だけでなく、小鳥やサルも飼われていて、遠方から馬車で来る人や自動車で乗りつける外国人などでにぎわったと言われます。意外なところに、人の行き交うまち蒲田の歴史をかいま見た散歩でした。


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梅屋敷公園
椿神社